おかざき真里の「サプリ」を読んで

おかざき真里による漫画『サプリ』は、広告代理店で働く女性たちの「恋愛」と「仕事」にまつわる「女の人生」を徹底的に描こうとした少女漫画だ。今作は2006年に月9でドラマ化もされている。作者のおかざき真里自身が、美大を卒業後に大手広告代理店の博報堂でCMプランナーとして長年働いていた経験を持つため、作中の働く女性像は非常にリアリティのあるものになっている。作中ではクリエイティブ業だが、きっとこれは職種に関わらず、今どんどん増えているキャリアウーマンとして働く生き方を選んだ女性の「幸せとは何か?どうやったら手に入るのか?」という問いに向き合ったものに他ならないと思う。ドラマ化されるほど世間に受けたことが、この問いがいかに今の日本で需要のあるものかを物語っている。
私も大学で建築学を専攻しているため、クリエイティブ業の徹夜体質な過酷な労働環境で、女が手に職をつけて生きていく人生とはどういう苦労や悩み、また楽しさがあるのか興味深く読んだ。女性が男性の中で仕事をしていく上で、やはり男性と同じようにはいかない。ただ私は仕事上女が男と全てにおいて等しく扱われるべきだ、とは考えていない。女には女にしかできない仕事の成果の上げ方があると思う。だがやはりその点は実際に働く女性が間違いなくぶつかる事柄であろう、とは読んでいて感じた。しかしそれよりも考えさせられたのは、作中の女性はほとんどが日々仕事漬けの中で「自分の好きな仕事」と「恋愛」をいかに両方手に入れるか、ということに奔走しているように見えたことである。仕事だけでは幸せになれないというように。ここにあるのは「女の幸せ」に対する世間の刷り込みであると思う。日本の女性は物心ついた時から、「女は男に愛されるのが幸せである」ということを前提に作られた物語や商品に囲まれて育ってきた。その前提は確かに間違ってはいないと思うが、私たち女性はこの思考からあまりに抜け出せない。この条件を外してしまえば不幸せになってしまうかのような感覚さえある。「男に愛されていない女は不幸せ」という価値観を疑っていくことは、日本の女性すべてに必要なことではないだろうか。そこに立って初めて、他の誰でもなく自分にとっての「幸せ」を積み重ねていけるのではないかと思う。

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