「社会を変えるには」を読んで
- 2017/5/18
- ビシネス書

戦後日本の社会運動の変遷を振り返りつつ、いま日本社会はどこにいるのかを民主主義 とは何か、そして近代自由民主主義の限界を交えて考察していく。プラトンに始まり、ルソ ー、ホッブス、デカルトなど哲学的観点から切り込むと思いきや、アダムスミスを引用に出 し経済の観点から切り込んでいくなど、作者の広範な知識に裏付けられた社会分析には納 得させられずにはいられない。特に私は作者の「人々が『自由』になるにつれ、議員と自分 の一致性が見いだせなくなった。そして、『民意』が現れなくなったと感じてしまう。その ため『民意』を可視化するために世論調査が重要視される。」という考えに共感を得た。自 由と民主主義の両立が困難になり始めている今だからこそこの言葉にはより一層重みが増 していると思う。
先に新しいアメリカ大統領選挙において多くのメディアが民意を読み切れなかったのは 世論調査の対象にバイアスがあったせいだと思う。今後あらゆる意味で自由であり続ける には、『民意』を可視化するための正確で膨大な社会調査の必要が不可欠だと思う。